日本の危機的な状況、農業がアメリカ資本家に売り渡され(てい)る構造的な問題、その中で登場した小泉進次郎氏(とその危険性)… 目から鱗、刮目すべき情報が満載です。是非ご覧ください。

▼ 2025/6/14 【講演資料(全187ページ)追加】

▼ 2025/6/26 【動画追加】+ 7/1 文字起こし

講演資料(全187ページ)

鈴木宣弘先生より(当サイトでの公開を前提に)講演に使用した資料をお送りいただきました。ありがとうございます!

[PDF・187ページ・33.2MB]

(以下、資料より一部抜粋)

食料安全保障崩壊の本質 (p4)

  • 米国の余剰農産物の最終処分場
  • 米国などの危ない* 食料の最終処分場(*危ない=安全性に懸念の声がある)
  • 米国企業の利益のために日本人が自ら動くようにする市場原理主義の洗脳教育
  • 自動車の利益のために農と食を差し出す「生贄」政策 (農産物関税撤廃)
  • 目先の農水予算削減しか見えない財政政策 → 輸入増加、農業縮小、自給率低下

すでに日本は飢餓国の仲間入り (p39)

子供の成長に不可欠な牛乳を供給する産業が丸ごと赤字というのは社会的にも許容できない危機 (p59)

敵基地攻撃能力強化の帰結を考えよう (p64)
不測の事態に、トマホークとオスプレイとコオロギをかじって生き延びることはできない。

外に媚び、内を脅かす者は、天下の賊である。by 吉田松陰 (p72)

食料自給率はなぜ下がったか (p76)
米国の要請で貿易自由化を進め、輸入に頼り、日本農業を弱体化させる政策を採ったから
極端に言えば、鎖国すれば自給率は100%なのだから。->江戸時代の見事さ

”金を出せば買える” は通用しない (p185)
「お金を出せば輸入できる」ことを前提にした食料安全保障は通用しないことが明白になった。
このまま日本の農家が疲弊していき、本当に食料輸入が途絶したら国民は食べるものがなくなる。
不測の事態に国民の命を守ることが「国防」というなら、国内の食料・農業を守ることこそが防衛の要、それこそが安全保障だ。

鈴木宣弘先生が理事長を務める

動画(文字起こしテキストあり)

つじ

私が思うには、江藤さん(前農水相)の時に、31万トン入札の3,000円台で、今、回ってると。それからブランド米は4,000円台で回ってる。小泉さんの今回の随意契約が30万トン2,000円で回ろうとしてると。日本の備蓄が91万トンだから、あと30万トンしかないんですよね。

日本の消費量は700万トンを上回ってるわけだから、どう考えても、無制限に次々投入するんだという風に言ってる。外国からの輸入米でうまく回そうというようなことを考えてると思うんですけども … 破綻するのも明らかだなという風に思ってるんですが。その辺、先生の方でどういう風に分析されてますでしょうか?

鈴木

おっしゃる通り、備蓄米が91万トンあるというのも、実はもっと少ないと言われていますけども、すでにですね、アメリカからの要請で、どこかの戦争のですね、兵士の食料に 備蓄米をかなり出してしまったという。日本赤十字を通じて。

そういう情報もありますので、私が直接の確認はとっていませんけれども、そうするともう出せる備蓄米というのは かなりすでに減ってきていて、それを出したとしても、この7、8月の端境期に米が足りなくなるような状況が進んでいるというのはですね、もう市場がちゃんと反応しているわけですよね。

実は今、田植えが終わろうかとしている、この今年の米ですね、普通は9月ぐらいに契約するのに、もうすでに今の段階でですね、先食い状態、青田買いでですね。どんどん契約が進んでいるんですよ。その値段はなんと、60キロ25,000円くらいになってきています。JA以外の業者さんはなんと 26,000円とか30,000円まで出しています。

そうするとですね、大変な集荷競争になってて、消費者価格5キロに直すともう4,300円とかなんですよ。つまり今よりも高いくらいの値段で9月の新米が出てくるというところまで、今、市場はもう不足感が 全然解消できてないんですよ。

だから備蓄米に騙されて 下がった下がったと言ってるうちに、それが次からまたね、今より高いようなお米の値段に もう契約が進んでるという状態なんですね。それが市場はちゃんとわかってるから、もうそうやって今、動いてるということ。

このことをみんなに知っていただければ、備蓄米がいかに誤魔化しかと。ただ目先、下がったぞということを演出するためのショータイムのようなものだと。

それに騙されて「いやー、彼は偉い」ななんて言ってたらね … 根本的な部分で、農家の皆さんが今度こそ増産できるようにするという政策をやらないんだから、事態はもっと悪化するわけですよ。

それをどう乗り切るかというと、結局輸入しかないんじゃないかという議論でそっちに持っていっちゃうんですね。最悪のシナリオを作っているということでね、それも含めて騙されたらおしまいだというのが今の状況じゃないかと思いますね。

つじ

戦後、要するに、関税と貿易に関しての一般協定 GATTっていうことで、自由貿易をできるだけ やっていこうということだったんですけども。なかなかそうは、関税が いろいろ設定されているということで、それを1993年にウルグアイ・ラウンドで 基本はもっと開放しようという風になった。

でも日本政府は米を守るために、事実上、外国からの輸入米については 341円のキロあたり関税をかけていると。

だからアメリカとか外国米を買うのに、340円をプラスしてしか買えないから、日本の農業がそれに守られるという建前になっているんですけども。

今の金額から言えばですね、先生おっしゃるように4,000円以上になるっていうのは構造的に目に見えてるわけだから、海外からの輸入米341円払ったって 4,000円以下で輸入できるんだから、どんどんどんどん外国の輸入米が入ってくるって構造になるんじゃないでしょうか?

鈴木

すでにね、その部分はもう止められないわけですよ。ですので今は341円キログラムあたりの 関税を払っても 3,500円くらいで輸入米が売れるもんですから、それでイオンさんとかね どんどん輸入を増やしてますよね。

だからその部分については 入ってきちゃうので止められないけども、それが止まるのは、国内のお米の値段が5キロ3,500円くらいになればその輸入米は止まるわけですよね。輸入する意味がなくなりますから。

だから一つの均衡点は 国内のお米が5キロ3,500円になるところで、その輸入米は止められると。
ところが止まらないのが、アメリカに対する追加の輸入枠ですよ。

つじ

あのGATT・ウルグアイラウンドの ミニマムアクセス米ということで、77万トンは関税なしでできるということで、その半分ぐらいアメリカから安く入ってますよね。

TPPでも、密約で「7万トン アメリカから輸入する」って、日本が認めさせられているというようなことで、完全にアメリカに 握られているっていう状況だと思うんですけど、その辺はいかがでしょうか?

鈴木

そうですね、あの GATT・ウルグアイラウンドで、1993年に77万トンっていう輸入枠を設定して、本当はそれは全量輸入する必要はないのに
アメリカとの密約で「半分は必ずアメリカから買う」というね 文書には書いてない密約を結びまして。

そんなことはしてないと政府は言い張ってますけども、毎年、統計で言うと36万トン アメリカから買ってるんですよ。もうアメリカに完全に握られてて、77万トンもずっと全量入れてきたんですが、TPPという交渉で、その時に日本はアメリカにあと追加の7万トンの輸入枠をアメリカに付けるという約束をしたんですよ。

でもトランプさんが TPPから自分で脱退しちゃったから、7万トンは消えたはずなのに、日本はその7万トンを 「なんとかしてあげなきゃいけない」みたいにして … 必死で今、追加で7万トンを恒常的にアメリカから輸入する枠を広げるんだっていう話をしている。

でもそれが、さっきの3,500円に 国内の値段が落ち着けば止まる輸入とは違って、恒常的にアメリカから輸入する分を 増やすことになりますから、これは国内のお米に大きく影響してくるわけですよ。

そういうことになると国内の農家が さらに苦しくなる状況を恒常的に作ってしまうと。
自動車との関係で、日本が過剰に譲らなきゃいけないみたいな議論をしてそれが大きな影響を及ぼすということですね。

つじ

今、赤澤さんが5回目交渉に行っているけれども 7万トン分は差し出すアレとして準備して、やっぱり自動車の問題とか 関税の交渉をしようとしていると私は思っていますけれども。この辺の問題については、掘り下げればもっときりがなくいろいろ議論しなきゃいけないんですけれども。

次の論点として、農水省から私の方で取り寄せた資料として「2024年の食料・農業・農村白書の概要」
1999年以降、5年ごとに基本計画というのを練り直して、日本の基本構造、農業の基本的な基本法を作るということになっているんですけども

この2024年に農水省が発表しているのは 特徴が2つあって

1つは、農業基盤をどう確保していくのか?ということで、どういう予算措置をつけて日本の農業を支えていくのか?ということが全く触れられていないというのが1つと

もう1つは、先ほどお話にもありましたけれども、2030年までに輸入米を8倍にすると。だから35万トンまで日本は輸入するんだと。

つまり本当に国で 自分たちが食べるものをどう作るのか?というのは全く基本法では触れずに、輸入米で全部依存して買おうという、まさに売国的な基本計画に思うんですけれども。こういう基本計画しか作れない。今の日本の現状ということについてはどうお考えになっておられますか?

鈴木

はい、あのすべてがですね … 農水省がもう独自に「食料、農業を守るんだ」という気概、前は持ってたんでね。

それさえも失って、財務省の言われるがままに、とにかく農水予算はこれ以上出せないという中で どうするのか?と。食料自給率も もう大事な目標ではないと。そして結局、輸入すればいいんだと。国内の市場がなくなるんだから 輸出は伸ばすんだとかね。

そういう風な妙な方向性だけを掲げるような、「財務省の予算がない中で何をやるか?」という、その中での非常に限られた方向性しか出せなくなっていることが大きく影響しているなというのが、深刻な事態を招いているなと思っています。

つじ

今、財務省解体デモとか色々あって、外から解体すれば済む問題ではないから、きちんと 批判していかなきゃいけないんですけども。やっぱり日本の経産省もそうだし、農水省もそうだし、文科省もそうだし、防衛省もそうだし、法務省もそうだと …

全部がですね、本当に国民の利益からかけ離れて空中戦みたいなところで財務省にやられているということだと 思うんですけども。これ、「農水管理をもっと頑張れ」と、「農水省をもっと建て直せ」と、先生の方から後輩にゲキを飛ばすというのは できないんですかね?

鈴木

農水省の職員の皆さんに 最近、講演をしましたのでね … お前らダメだというのではなくて 「思い出せ」と。食料、農業を守るために 頑張ってた時代もあったんだと。その思いを奮い立たせて、もう一度ね、みんなのために頑張ろうじゃないかと。

ところが、頑張ると、内閣人事局 … 人事を握られてるじゃないですか。飛ばされる(左遷させられる)って。

農水省の局長、一度頑張って官邸に言いに行ったんですよ。「これだけはやめてくれ」って。そしたら「お前偉いな。よう言ったぞ」と。なのでクビだと。一緒について行った課長まで、「お前も来ちゃったのか、一緒に」と 見せしめだと。飛ばしてやると。彼まで飛ばされましたよ。

こんなことやった官房長官の名前は 決して言えませんけどね。○○さんとか。だから、そういう世界なんで … 最後まで頑張った国際部長でも、私のところに一生懸命データ届けてくれて「一緒に戦うぞ」と言ってた方は、今はほとんど行方不明みたいな状態になっています。

途中でしっかりと考え方を変えて、(官邸意向に服従して)貿易自由側のほうで頑張った方は、ナンバー2ぐらいまでは出世するとかね。はっきりとそういう風になるわけですよね。どこまで覚悟を持って、自分の身を犠牲にしてでも戦うかとか … 難しいことですよね。そこまでできる方っていうのは そんなに多くないですからね。

つじ

その辺は新しい政権で、内閣人事局のやり方というのを 本当に変えていかなきゃいけないと。ふるさと納税で「これはいろんな憲法上の問題があるんじゃないか?」と助言というか、少し検討し直した方がいいんじゃないか?という風に言った官僚が飛ばされていますので。

そういう意味で、もう忖度しなければ官僚は出世できない・生きていけないというのが構造になっていて、これが安倍政権の下で本当にどんどん強化されている。これをどう建て直すのか?というのがやっぱり政治の役割かなという風に思います。

問題提起ということで、あと2点だけ伺うんですけれども。

先ほど(その昔)郵政民営化で、ゆうちょマネー350兆円 アメリカに差し出した(小泉純一郎)。
それから(そして今)全農、JAを株式会社化して、これをアメリカのファンドに もう売り払ってしまおうというようなことで …

もともと小泉進次郎が農水の自民党の 部会長の時にいろいろ画策したけど、それはうまくいかなかった。それをリベンジで今度やろうとしている。

郵政民営化の時の・売国奴の小泉純一郎を、(今)まさに農水問題で、2番目の息子が 売国奴になろうとしているという風に私は受け止めましたけど、その辺はどうお考えなんでしょうか?

鈴木

まさにそのような構造になりつつあるなということで。郵政については、アメリカのウォール街:金融保険協会が、その350兆円の運用資金を自分たちのものにしたいということで、郵政解体・民営化が行われて … 結構最近まで続きましたよね。「かんぽ生命の保険の売り方がおかしい」とかで攻撃して。

その結果、今、郵政の皆さんはかんぽ生命を売るんじゃなくて、アフラックさんの保険を売るんですよね。完全にアフラックさんの代理店になっていると。郵政がアフラックさんを買収したと言われていますが逆で、もう完全に母屋を乗っ取られた形で。これで350兆円のアメリカへの流れはもうほぼ完結したと。

彼ら(アメリカの資本家たち)が、前から・のどから手が出るほど欲しいのは、JAマネー。農林中金(農林中央金庫)に集まってる100兆円と、全協連、共済で集まってる55兆円の 155兆円。これがのどから手が出るほど欲しいと言われて、そのために農協改革の名目で解体しろと。分離してしまえと。

そして同じような手口でアメリカ側の運用資金に持っていくんだということが、前からの懸案だったんですね。ですので、親子2代にわたって 2つ目は息子さんの方が指揮を取るというような形にちょうどなってきているというのが、今のひとつの流れと。

もうひとつが、アメリカの発の巨大穀物商社のカーギルさんが全農さんに目をつけましてね。
もともと、全農さんは傘下に「全農グレイン」という商社機能があって、そこが日本の消費者のために遺伝子を組み替えていない穀物を分別して、日本に一生懸命持ってきてたんですよ。

それをカーギルさんが目障りだと。「そんなことやめろと」潰してしまいたいと思ったが
全農グレインは、商社としても世界一流なんですよね。だからこれは買収した方がいいじゃないかということで、買収しようと思ったら 全農は共同組合なので買収できないと。

で、どうするか?と 私が聞いた話では … 日米合同委員会という、軍事関係の命令が出るところで、実は経済関係の事例も出てるんですよ。そこで全農を株式会社化しろという要請がアメリカ側からあったという話。これは完全に正しいか(100%実話か)どうかはわかりません。

そういう話から始まって 全農を株式会社化という話が、前回の小泉さんが農林部会長のときから ワーッと出てきて、それが今続いている。それは全農が共同組合だから買収できないから、株式会社化させて買収するという その道筋ですよね。

(まさか)そんなこと … って言われるかもしれませんが、実はカーギルさんは、オーストラリアやカナダでもそうだったんですけど … オーストラリアでも全農さんに近いような 共同組合系の組織を、CIAの情報操作まで入れて「悪いことしてる」って攻撃して、株式会社化させて、結局、買収してるんですよ。同じことが他でも行われているんでね、これはかなり確からしい。

次なる標的が日本にきていると。日本が草刈り場状態になって、いろんな国に植民地化されてしまうような状況が、今、まさに売り飛ばされるような状況が進んでいるということにもなりかねませんので、これは本当、危機的な状況ですよね。

つじ

はい。ありがとうございます。
今度の参議院選挙で 小泉進次郎が救世主のように扱われて … そうすると、石破に代わって小泉待望論が出てくると、日本が本当に完全に改造されてしまうというかというような状況がある。

絶対にこれを許さないという意味で、参議院選挙というのは 大きな意味を持っているなと思ってきていると。

2025/6/11 長周新聞にてご紹介いただきました
(Special Thanks to : 長周新聞社・矢神様)

食と農のスペシャリスト:東京大学大学院の鈴木宣弘特任教授 (@tetsuginsuzuki) と対談いたします。

尾張から、日本の農業の復活を目指す!

  • 18:00~20:30 (17:30開場)
  • 入場料:500円 (資料代として)
  • 場所:一宮市民会館 1階 大会議室
    https://ichinomiya-hall.jp/

(告知動画@Instagram ↓)