皆様、明けましておめでとうございます。
今年は日本政治の行方にとって正念場の年です。国民が主役となる政治の実現のため、全力を挙げて頑張ります。今年もご注目頂きご支援くださるよう心からお願い申し上げます。

日本政治の行方を決めるに当たって、最重要な課題の一つはアメリカのトランプ政権に対する対応です。トランプ大統領は1月3日、ベネズエラのマドゥロ大統領夫妻を拘束しニューヨークに連れ去り、麻薬密輸等の嫌疑で裁判にかけると発表しました。トランプ政権の行動が世界の政治情勢に与える影響は甚大であり、アメリカの世界戦略に追随しているとみられている日本として、世界に対して日本の存在感を示すために、今回の事態に対する見解を示すことが必要です。

第二次世界大戦後のアメリカは、圧倒的な軍事力と経済力を背景に、世界各地の紛争に様々な形で軍事的に関与してきました。1989年の東西冷戦終了以前は社会主義勢力との対抗を大義名分にベトナム戦争に参画し、冷戦終了後も世界の警察官として湾岸戦争等を主導しました。一方で、1973年のチリ・アジエンデ政権の転覆、1983年のグレナダ侵攻、1989年のパナマ・ノリエガ将軍の拉致等、アメリカが自国の勢力圏と見なす中南米に対しては、国際世論を意識しながらも極めて強引な形で軍事力を行使して、意に沿わない政権に対して政権転覆を繰り返してきたのです。

ノリエガ将軍は父ブッシュにより拉致され、アメリカで麻薬密輸等を理由に懲役40年の判決を受けました。しかし、その途中でフランスに身柄を引き渡され、そこでも有罪判決を受けたという事実に示されるように、一連の介入は曲がりなりにもアメリカの単独行動ではないという形がとられています。チリのクーデターもグレナダ侵攻も社会主義の脅威を潰すという大義名分を一応は掲げていました。

これに対して、ベネズエラのマドゥロ大統領は反米社会主義を掲げるチャベス大統領の後継者ですが、トランプ大統領はベネズエラの石油利権をアメリカが強奪するという意図を隠すことなく、拉致正当化の理由として麻薬密輸や武器密輸を便宜的に掲げるだけで、いわゆる西側陣営の支持を求めるという立場をとっていません。トランプ政権は2025年12月に発表した「国家安全保障戦略(NSS)」に基づき、中南米を中心とした西半球への対応を重視する「モンロー主義」による国益優先を強調しており、英独仏等の西側諸国との連携という姿勢とは無縁な形で行動を起こしているのです。

トランプ政権は、気候変動に関するパリ協定からの離脱、WTOの軽視、武器貿易条約の署名撤回等「多国間条約・国際機関」を軽視し、国際連合はじめ第二次世界大戦後に構築された戦後体制・ルールに拘束されない姿勢を鮮明にしつつあります。この姿勢は戦後世界を牛耳ってきた米欧支配層体制に対するアンチの政治姿勢であり、MAGAを掲げるトランプ政権の登場によって、ロシアのウクライナ侵攻後に強調された「専制主義国対民主主義国」という対立構造では現在の世界は動いていないという実態が浮き彫りになったと言えます。

トランプ政権について、いわゆる西側陣営内の上記の対立構造を含めて評価を行う必要があります。私は、今こそ日本がアメリカに対する隷属状態から離脱して独自の外交戦略を策定するチャンスだと思います。そのためにも、トランプ政権のマドゥロ大統領夫妻の拉致に対しては、国際法規に則って日本のキチンとした見識を世界に対して公表すべきなのです。

国連憲章第2条4項は、他国に対する武力による威嚇または武力の行使を禁じています。国連憲章が他国に対する武力行使を認めるのは、安全保障理事会の決議を伴う軍事的措置か、個別・集団的自衛権の行使の場合のみです。今回のトランプ政権の武力行使はこれらいずれの場合にもあたらず、国際法違反であることは明らかです。しかも、アメリカ国内においても、トランプ政権は連邦議会の上院軍事委員会に攻撃の事前通知をしていません。

高市政権は、トランプ政権に対して、マドゥロ大統領夫妻の拉致行動に至った理由について説明を求め、説明内容が国連憲章に照らして正当性が認められない場合には、マドゥロ大統領夫妻の速やかな身柄の解放を求めるべきです。日本政府としての見解を曖昧にすることは世界に対して日本の信用を失うことであり、ましてやトランプ政権を擁護して媚を売るような行動は恥晒し以外の何物でもないことを肝に銘じるべきです。