2025年12月20日
臨時国会終了直後の12月19日、高市政権の官邸幹部が「日本は核兵器を保有すべきだ」と発言しました。この一言で高市政権が何のための政権かが端なくも明らかになりました。
敗戦後の日本が築き上げてきた様々な価値や国民の命と生活を守る制度について全く関心がなく、いとも簡単にこれらを切り捨て一気に戦争にまで突っ走りかねない底なしの危険性がある政権だということです。
高市首相その人が、先人の苦闘に対する感謝の気持ちや、幾多のせめぎ合いを経て成り立ってる現在の諸制度に対する尊重の気持ちの欠片もなく、極めて空疎な資質と精神の持ち主であることが窺われ、私は、多様な価値観と多様な利害関係の衝突を調整するという政治の本質を全く弁えない極めて短絡的な思考によって、日本の間違った進路への転落が加速度的に進むという強い危機感を覚えます。一刻も早く高市政権を退陣に追い込み、歯止めを掛けないといけません。
高市政権の危険性について、臨時国会をはじめとして政権発足後浮上した争点を取り上げて指摘したいと思います。先ずは、戦争と治安強化に関する危険性についてです。
「存立危機事態」をめぐる危険性
2025年11月7日の衆議院衆議院予算委員会で、高市首相は台湾有事が「存立危機事態」になり得ると明言した。この答弁は中国の激しい反発を招き、日中関係は経済・文化を含め多岐にわたって深刻な緊張下にあり、アメリカのトランプ大統領からも発言の軽さに対する懸念が表明されたとのことである。
そもそも、存立危機事態の定義は「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」(事態対処法第2条第4項)であり、このきわめて抽象的な要件の判断は時の政府に委ねられている。高市首相は独断で従来の政府見解を逸脱する認識を表明したのである。
元々「存立危機事態」は集団的自衛権を前提としており、憲法9条違反が指摘されているのであるから、一国のリーダーが安易な乗りで外交的緊張を煽る言辞を弄するなど持っての外である。高市首相には日本の国政を担う資質が存在せず、今後の国政運営は一気に不安定化したと言わざるを得ない。
スパイ防止法前のめりの危険性
自民党と日本維新の会が連立合意書にスパイ防止法制定を盛り込み、この流れに呼応する形で参政党が議員立法でスパイ防止法案を提出し、高市首相はスパイ防止法に前のめりになっている。
スパイ防止法は1985年に中曽根政権下で制定の動きがあったが、国家機密の範囲や「取得」「漏洩」の定義が抽象的であり、記者の取材行為、研究者の資料収集、内部告発者の情報提供、市民団体の調査活動が処罰の対象となりかねず、憲法21条が保障する表現の自由、憲法31条の適正手続、さらには罪刑法定主義(明確性の原則)に違反するという批判が高まり廃案になっている。
その後2013年に特定秘密保護法が制定されたが、曖昧な構成要件による監視社会の危険性が指摘されており、今回のスパイ防止法は、外国人排斥の風潮の高まり等を受けて思想弾圧の道具になりかねず、歯止めの利かない高市政権下で猛威を振るう危険性があるので絶対に許してはならない。
国旗損壊の処罰化の危険性
自民党と日本維新の会の連立合意書では、2026年通常国会に国旗損壊罪法案の提出を謳っているが、高市政権は、国旗損壊の処罰化による単なる「象徴の保護」に止まらず、価値観の強制にまで踏み込もうとしている。
刑法上の処罰対象とされるのは、損壊行為であるが、損壊の行為は抗議表現や政治的意思表示としての行為である場合が多いのであるから、憲法21条が保障する表現の自由、とりわけその核となる政治的表現の自由を侵害することになる。
加えて、「損壊」や「侮辱」の定義の曖昧性は罪刑法定主義に反するし、損壊罪の立法目的は「敬意の強制」が色濃く、政権の掲げる価値観にそぐわない表現を排除する装置として機能し、刑罰による思想統制に外ならないのであり、これまた許してはならない。
非核三原則の見直し
冒頭で述べた官邸幹部の発言は、単なる偶然ではなく、高市首相がかねてから、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則の見直しを主張してきたことから生じたのである。高市首相は、2026年に行う予定の安全保障関連三文書の改訂で、「時代の変化」や「抑止の信頼性」を理由に、非核三原則の空洞化を目論んでいたが、官邸幹部はもっと直截的に「核兵器の保有」まで踏み込んで発言して、高市首相の本音を語って見せたのである。
非核三原則は、法的拘束力の有無を超え、戦後日本が核兵器と距離を取るという政治的意思を内外に示してきた規範である。高市政権はこの規範を空洞化させようとしており、国会での議論や国民的議論を経ないまま、国是としての非核三原則という安全保障政策を転換しようとするものであり、高市政権の一連の危険性の中核を占めるものである。2026年通常国会で正面から追及すべき中心課題である。





