10月21日高市政権が発足しました。自民党総裁選当初は、靖国参拝固執の右翼思想や総務相時代のマスコミへの問答無用式の権力対応が支配層からも危険視され高市氏は本命から外れていたのですが、今や、24年衆院選・25年参院選で自民党が少数与党に転落したことによる日本の支配者層の危機を救う、起死回生の期待を担う存在に祭り上げようとされつつあります。

私は、高市政権が安倍晋三氏が掲げた「戦後レジームからの脱却」を具現化する政権に大化けしかねないという強い危機感を抱いています。高市政権の危険性を正面から暴露して一刻も早くこれを打倒する政治勢力を築き上げることが必要だと確信するものです。

このような思いから、高市政権を打倒し99%の国民のための政権を樹立するまで、「つじ恵の一点突破」を発信することにしました。

「つじ恵の一点突破」をお読みいただき、是非ご批判やご意見をお寄せいただいて、日本政治の転換を実現する知恵の結集の場としたいと考えます。宜しくお願いいたします。

高市政権の危険性

高市首相は10月21日の初閣議で「責任ある積極財政のもと、戦略的に財政出動を行う」と経済対策を指示した。積極財政に「責任ある」という修飾語を付け、かつ財政出動も「戦略的」に行うと、わざわざ言い訳的に表現しているのは、日本の支配思想が財務省を軸にした財政規律派に従っているのを意識したためと思われる。

10月23日付日経新聞社説は、高市首相の「積極財政」を牽制する論陣を張っている。謂く、

  1. 日本経済は拡張的な金融・財政政策が必要な状況にはない。
  2. 金融と財政の現状は12年のアベノミクス導入当時とは大きく異なり、アベノミクスの発想から脱却すべきである。
  3. 物価高対策は、人手不足や原材料高など供給制約下で、2万円給付や食料品の消費税ゼロのなど大規模な需要喚起策を回避したのは妥当な判断であり、財源や脱炭素の議論を抜け落としてはならない。
  4. 戦略的成長投資や潜在成長力の強化は当然だが、民間の投資余力を尊重して官は民の補完の役割に徹すべきである。
  5. 労働力人口の減少下で排外主義で外国人抜きでイノベーションは起こせないので、トランプ関税への対抗軸として「開かれた日本経済」を追求すべきだ。

等々と述べている。

日経新聞は支配者層の考えている方向性を先取りして世論誘導することを使命としており、高市政権に圧力をかけて自分たちに従えば日本のエスタブリッシュメントに受け容れてあげようと誘っているのである。

高市政権は簡単には肯んずるわけにはいかないし、トランプ的に旧来の既得権益層に抗って衝突することがあるだろうものの、結局は既得権益の支配層に包摂されるか、またはそれなりの力を示して連携して行くに違いないと私は思う。

何故なら高市首相の「積極財政」の目的には、国民生活の窮状を救い99%の国民の幸せを実現するという要素が1ミリも入っていないからである。つまり、資本の力を不可侵の原理とした支配の構造の永続化を図るという点において、高市政権も従前の政権と何ら変わりはなく、国民の統合と支配の方法論に多少の差異があるに過ぎない。

従って、高市政権及び既得権益層を倒すために、どういう政治を対抗勢力として構築するかが問われる。

今、立憲は自民党との連立から離れた公明党と中道勢力をまとめて対抗勢力たらんと画策している。詳細は後日述べるが、立憲の野田代表は、2012年の「税と社会保障の一体改革」なる民自公3党合意をまたぞろ持ち出して唱えている。国民を裏切って現在の格差と貧困をもたらした内容に何の未来もないことは明らかである。

私は、現在の日本の政治状況については、概略三極に分けて考えている。この三極について分析をしながら、本物の政治変革を担う、上述の二極とは異なる三極目の政治勢力を構築する展望を、次回以降に語りたいと思う。

(2025年10月24日 Xへのポストより転載)